慶應義塾体育会 | 0 | 17 | 早稲田大学 |
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大学アメフトの秋季リーグ戦がスタート。今年から対戦形式が完全にコロナ禍以前の形式に戻り、組まれた初戦のカードは早稲田vs慶應の早慶戦。前半は猛攻を食い止めるディフェンスを見せるも、徐々に押されて失点。慶大は大差ではないもののノースコアで完封され、開幕戦勝利はならなかった。
関東大学リーグ1部TOP8 vs早大
2023年9月3日(日)@アミノバイタルフィールド
♢試合結果♢
| 早稲田大学ベアーズ | 慶應義塾大学ユニコーンズ |
第1Q | 0 | 0 |
第2Q | 3 | 0 |
第3Q | 7 | 0 |
第4Q | 7 | 0 |
計 | 17 | 0 |
今年の関東大学アメフトは誰もが思ってもみないスタートとなってしまった。慶應義塾大学と明治大学は活動停止期間があり、さらに日本大学は無期限で参加資格が停止されてしまったことは各メディアでも大きく取り上げられている。しかしこのような状況の中でもなんとか秋の公式戦は開催されることとなり、慶大UNICORNSも参加資格を得た。昨年までとは明らかに戦力が少なく不利とも目される中、慶大の初戦の相手は永遠の好敵手・早稲田大学。2019年4月29日に早慶戦が実施されて以来実に1588日ぶりに激突する早稲田と慶應。開幕戦というのはもちろん、早慶戦の独特な雰囲気も相まって、非常に重要な一戦である。雨の予報だったはずのアミノバイタルフィールドに見事な夕焼けが光るなか、試合は開始された。
大雨予報を吹き飛ばし、フィールドで闘志を燃やす
第1クオーター(以下「第1Q」、第2Q以降も同様)慶應のキックオフから始まった試合は、このキックがアウトオブバウンズ(ボールがフィールド外に飛び出すこと)となり、幸先いいスタートを切ることができない。慶應はQBの松本和樹(経3・慶應)がパスやランを駆使して少しでも前に進もうとするが、早大のディフェンス陣の守りは堅く、全く崩すことができない。しかし慶應のディフェンス陣も決して負けてはおらず、主将の鎌田泰成(法4・慶應)のロスタックルなどで早大を食い止め無失点。一進一退のまま第2Qへ突入する。
QB・松本和樹(経3・慶應)
第2Qに入っても試合は膠着状態のまま。早大による積極的なランプレーで何度も隙を突かれそうになるも、鎌田はもちろん松尾修輔(商4・都富士)や沼田航平(商3・慶應)らの決死のブロックでなんとかリカバーし、進軍を阻んでいく。前半終了間近になっても両校点がとれないまま試合は進み、このままノースコアかと思われたが、前半20秒を残して早大・曽木聡(スポ4・國學院久我山)による46ヤードのフィールドゴールが決まり、早大が3点を先制する。このまま前半は終了し、スコアは3-0。前半終了時点での慶大は、前年の東日本王者に太刀打ちできるだけの実力を発揮できたと言えるだろう。
ハーフタイムでは、アメフトではお馴染みのハーフタイムショーが行われた。チアリーディング部によるパフォーマンスが披露され、慶大側からはもちろん早大側からも大きな拍手が贈られた。今年から、応援はピッチ横だけではなく客席内でも行われるようになり、應援指導部の部員たちは観客と積極的にコミュニケーションを取りながら試合を盛り上げていった。慶大側の応援の質は、観客の人数こそ及ばないものの、甲子園での応援で一躍話題になった慶應高にも全く引けを取らない優れたものであった。
客席からも應援指導部のはつらつとした声が響く。この光景も4年ぶりだ
後半、第3Qに入ると少しずつ両校の差が浮き彫りになる。前半では抑えられていた早大の攻撃を少しずつ制御できなくなっていってしまい、10ヤード以上のゲインを許す場面が増えた。早大の副将・中尾公亮(社4・早実)のスーパーキャッチなども飛び出し、徐々に慶大は押され出していく。9分には大きく右側に展開した早大のRBを止めることができず、今試合初のタッチダウンを献上した。会場には早大側からの「紺碧の空」の合唱が響く中、慶大は第3QからQBを経験豊富な水嶋魁(商3・海陽学園)にシフト。足を絡めた攻撃で早大ディフェンス陣へと切り込み、そのポテンシャルを垣間見せた。
決死のブロックもわずかに及ばず、追加点を献上
第4Qになっても早大のペースを崩せない。早大RBはラグビーさながらの猛チャージを見せ、一級品のフィジカルを披露する。これを抑え切れるだけの余力は慶大側には残されていなかったと言ってよく、2本目のタッチダウンを決められ、点差は17点に開いた。なんとか意地を見せたい慶大は試合終了間際、水嶋の放つパスが若月伶士郎(商1・慶應)の手中に収まって30ヤードのロングパスに成功。ルーキーが華々しいデビューを飾った。最後に見せ場こそ作ったもののゴールラインは遠く、最後のロングパスが不発に終わり試合終了。最終スコアは17-0で、会場に「若き血」が鳴ることはなかった。慶大は昨年に引き続き、今季も黒星発進となった。
WR・若月伶士郎(商1・慶應)へのロングパスが通る。慶大サイドは大歓声
新チーム発足からわずか1ヶ月ほどで初戦に挑むことになった慶大は、前半までは早大相手に五分の戦いをすることができた。しかしそれはディフェンスが上手く噛み合ったということであり、得点が取れなかった点に関して言えばオフェンス陣は完敗だったともいえよう。後半にはスタミナ切れが目立った点なども含め、完全に相手のペースになってしまった。次戦は東京ドームで行われる法政大学戦。昨年も同じ場所での同一カード対戦であり、その時は慶大がFG1本に抑えられ28-3で敗北している。前回同様に攻撃力が試される試合になることは必至で、そのためにもオフェンス陣のより一層の奮起が期待される。
(記事:慶應スポーツ新聞会)
♢インタビュー♢
主将・鎌田泰成(法4・慶應)
ーー今日の試合の感想
完全に完敗だったかなと。オフェンスも見ての通り点取れてないですし、ディフェンスも最初の方とか結構粘れてたんですけど後半で体力切れだったり足が吊ったりというのも出てしまって、やられてしまったので、まあ完敗かなという感じですね。
ーー新チーム発足からここまで
人数が少ない中なので、その少ない全員でいかにプレイにフォーカスできるかというのを常に言いながらやって来ました。スローガンの「UNITE」にもつながってくるんですけど、フィールドで戦ってる11人だけではなく、サイドラインにいる人も全員で相手と戦おうというのを重点的に言ってきましたが、まだ1つになりきれてないというのがあります。
ーー次戦に向けて
今日の試合の入りで、最初キックオフがアウトオブバウンズしてしまったりとあまりいいスタートが切れなくて、自分たちがサイドラインから試合を作れなかったというのはありました。練習の時から意識はしていましたがまだ求める形にはなっていないので、そこを全員でまとまらないとダメだよねというのをみんなで再共有して、もう一度気持ちを作り直してもらって。去年負けている法政を今年は倒すという気持ちを持って、準備していきたいと思います。